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偉大な守護者、免疫システムを守るには体温が鍵!

免疫とは、私たちの体に備わっている“疫病から免れるための仕組み”です

ふだん私たちは免疫のありがたみを意識することもなく過ごしていますが、免疫とは、自己と非自己、あるいは体にいいものと悪いものとを識別し、体外から侵入する病原体や体内で発生するがんの芽を排除して命を守る、壮大な体の仕組みです。

もっともわかりやすい例は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によるエイズ(AIDS)の発症です。HIVは免疫の司令塔であるCD4+Tリンパ球に感染し、徐々に免疫機能を弱めることで、ふだんは免疫によって免れている様々な日和見感染症(帯状疱疹、結核、カポジ肉腫、カンジダ症、サイトメガロウイルス感染症、果てはJCウイルスによる進行性多巣性白質脳症など)に罹り、エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)と呼ばれる状態に陥るのです。

免疫の一次バリアーとなるのは皮膚や粘膜で、IgAと呼ばれる抗体や様々な抗菌ペプチドによってまずは敵の侵入を阻止します。それを突破して侵入してきた敵に対しては、白血球が対抗します。常時体内を監視しながら非特異的に異物を攻撃するNK細胞、異物を貪食してその情報を仲間に伝えるマクロファージ、体のあちこちにいてヘルパーTリンパ球に特異的な異物情報を教える樹状細胞、直接攻撃(細胞性免疫)や抗体産生(液性免疫)の司令塔であるヘルパーTリンパ球、ヘルパーTリンパ球による情報に基づいて標的を攻撃するキラーTリンパ球、抗体を産生するBリンパ球などの頼もしい免疫部隊です。

これら多くの免疫部隊が血液と組織の移動を繰り返し、連携して異物を排除し、排除が完了すれば免疫が暴走しないように制御しながら、目に見えないところで私たちの健康を支えているのです。
免疫力が外敵から身を守る
そして免疫に大きな影響を与えるのが体温です。

体温が1℃下がると免疫機能は30%下がるといわれます。昭和中期に調べた日本人の平均体温は、その7割以上が36.9±0.3℃の範囲にありましたが(町野「臨床検温法に関する研究」1959年)、現代人では男女問わず36℃に届かない人も多くみられ、冷えによる免疫機能の低下が心配されています。

代謝も免疫も24時間休むことのない化学反応です。化学反応には酵素が必要ですが、酵素が働く最適温度は動物種ごとに決まっているため、代謝活動を保ち、免疫力を保つには設定体温を下げないことが大切です。人間の体温は37±0.5℃に設定されています。体温が設定を下回ると、化学反応が進まず、免疫力も下がって、体内では病原微生物やがん細胞の増殖を許すことになってしまいます。

風邪のウイルスに感染したとき発熱するのは、免疫を高めて病原体をやっつけるためです。体温が高いほど化学反応は活発になり、免疫力も増すのです。一方、日常的に高体温を保つためには多くのエネルギーを作り続ける必要があり、体は逆に疲れてしまいます。

人間に与えられた37℃の体温は、他の恒温動物に比べて低いエコな体温ですが、免疫細胞が働く環境を確保して微生物の侵害やがん化から身を守るためのギリギリの温度ともいえます。免疫の仕組みを保つためにも、私たちはこれ以上体温を下げないようにしましょう。

体温を維持するには、血流をよくすることが大切です。重曹とクエン酸からなる入浴剤から発生する重炭酸イオンが、体内ニトロと呼ばれる一酸化窒素(NO)の分泌を促して血管を拡げ、驚くほど血流を上げることが、2022年、医学雑誌で報告されています。

毎晩家のお風呂で血流を上げて体の深部まで熱を届け、免疫が働きやすい環境作りをしませんか?

筆者・奴久妻 智代子

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